【北海道ハイテクアスリートクラブ】今季最終「第71回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会」に参戦

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「第71回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会」が9月23日~24日、岐阜県岐阜市の岐阜メモリアルセンター長良川競技場で行われ、北海道ハイテクアスリートクラブ(以下北海道ハイテクAC)から男子110mハードルの髙橋佑輔選手、女子100mと200mの島田雪菜選手、女子100mハードルの村岡柊有選手、女子走高跳の京谷萌子選手の4選手が出場しました。髙橋選手と女子100mの島田選手が予選を突破してB決勝に進出し、髙橋選手は第2位、島田選手は第7位入賞を果たしました。また村岡選手は予選第3位、京谷選手は決勝第13位と4選手それぞれが健闘しました。

左より込山トレーナー、 髙橋選手、京谷選手、島田選手、村岡選手

今シーズンは髙橋選手が北海道選手権で110mハードルと男子100mに優勝するなど各シーンではそれぞれの活躍が見られましたが、各選手の故障が目立つシーズンとなりました。フルタイムの仕事をこなす“社会人アスリート”の宿命ともいえる練習不足と、そのなかでの無理がたたっての故障という厳しい状態での今大会でしたが、さらに北海道との気温差10度以上という、連日31度真夏日炎天下の岐阜での条件は調整が難しくもありました。それでも各選手は来シーズンに向けて、それぞれ今季最後の公式戦に懸命に挑みました。

■島田雪菜 (北央電設㈱勤務/北海道ハイテクノロジー専門学校卒業生)

女子100m 
予選1組 2位 12秒12
B決勝  7位 12秒21

女子200m 
予選3組 3位 25秒31

予選2位に入った島田選手(写真手前)

大会初日の9月23日に女子100mの予選1組に出場した島田選手は、同組9選手の中でスタートはわずかに遅れますがそれでも持ち前のスタート・ダッシュ力で加速し、前を行く選手を追って、後半もスピードを維持して12秒12で2位に入り、B決勝へ進出することができました。昨年は同じ予選2位でしたが、タイムでA決勝に残れず、B決勝進出も僅差で逃し、悔しい思いをしたので、今回のB決勝への勝ち残りはチームにとっても嬉しいニュースでした。

そして午後3時から行われたB決勝。試合前、島田選手は「予選のタイムは良くなかったですが、次はトップを狙います!」と珍しく強気の言葉を口にしました。この大会の前の週に札幌で行われた記録会で11秒94と久々の11秒台を出し、このところ調子が上がっていたからです。 スタートから中盤までは横一線の集団に付いていきます。しかし11秒台を意識し走りますが、結局、後半伸ばせずにジリジリと後退、12秒21と予選よりタイムを落とし7位に終わりました。試合後「余計なことを考えてしまい、冷静さを欠いて力んでしまいました」と話していました。

この大会には、北海道ハイテクノロジー専門学校や東京メディカル・スポーツ専門学校で教壇に立ち、アスレティックトレーナーの公認資格と鍼灸師・あん摩マッサージ師の資格を持つ込山明トレーナーが、4人のメンバーの身体ケアのために駆けつけてくれました。

島田選手のケアをする込山トレーナー

心強い助っ人に「筋肉を触っただけで、頑張って練習してきたことが良く分かる」と褒められた島田選手でしたが、「やっぱり後半が課題です。明日も200mがあるので頑張ります!」と言葉を残して引き上げました。

また、翌日24日に島田選手は200mにも出場。予選3位という結果でした。試合後「スタート直後のコーナーはうまく行けたのですが、コーナーを抜けて直線に入ったところで風にあおられ、バランスを崩して立て直せませんでした」と振り返りました。気温差に突風と自然が相手ではどうにもならないといった様子でした。「後半に強くなれるように頑張ります!」と終始、前向きでした。

200mのコーナーを駆け抜ける島田選手(写真奥 ゼッケン157)
レース後大型ビジョンを見つめる島田選手

■男子110mH 髙橋佑輔(札幌市役所勤務)

予選4組 4位 14秒46
B決勝  2位 13秒95

“公務員アスリート”として金曜日の仕事を終えたあと、試合前日の23日の午後3時前に競技場入りした髙橋選手。今シーズンの前半は走力とハードリングがかみ合わずに転倒するなど苦戦の連続でした。ようやく7月中旬の第96回北海道陸上競技選手権で110mH(13秒85)と100m(10秒39)の2種目を制覇し、7月後半のFUKUI9.98CUPでは13秒48の自己2番目のタイムで5位入賞しました。そのあと行われた8月の国体予選では、110mHを13秒59、100mを自己最高の10秒33まで上げ、ここにきてハードルは13秒50前後をコンスタントに出せるようになってきました。ところが、その国体予選でアキレス腱にピリッと嫌な感覚が走りました。万一を考えて約1月間、練習を中断。この試合の5日前からスパイクをはいてハードルも飛びましたが、不安はぬぐえず、試合にでるかどうか、最後まで迷ったといいます。結局、かごしま国体の北海道代表にも選ばれているし、残り少ない試合を考えると、走るメリットがあるのではと覚悟を決めて、24日の正午から行われた予選に臨みました。

B決勝で力走する髙橋選手(写真中央)

場内アナウンスで重要選手として紹介を受けた髙橋選手は第8レーンに出場。スタートもいつものキレはなく、アキレス腱が気になって全力で踏み込めないのか、結果は4位の14秒46。今の髙橋選手からすると信じられない成績です。決勝はおろかB決勝もおそらく残れないだろうと思っていました。ところがB決勝メンバーの中に、髙橋選手の名前がありました。棄権するだろうと思っていたら、髙橋選手は「痛みはなくなっているし、レース感覚も戻ってきたようです」と、午後3時からのB決勝に出場を決めたのです。

社会人アスリートとしては、「走れるチャンスがあれば、すべて走りたい」。「残りのレースがほとんどないので、1本でも楽しんで走りたい」。そして午後3時からのB決勝。8レーンのスタートから力強く飛び出し、1本目のハードルは倒し、その後もハードルに当たることが目立ちましたが、実力を発揮しトップ争いを展開。結果は1位の選手0.03及ばず13秒95の2位となりました。

B決勝でトップ争いをする髙橋選手(一番手前)
B決勝第2位入賞し、安堵の表情の髙橋選手

試合後、髙橋選手は「迷ったけれどレースに出てよかった。意外と走れるぞと思いました」と、10月に北海道代表として出場するかごしま国体への自信につながったようで、ホッとした表情でした。決勝で3位となった先輩の石川選手(富士通 13秒58)とも言葉を交わし、次は同じ土俵で戦うことを誓っていました。

■女子100mH 村岡柊有(新千歳空港グランドスタッフ

予選1組 3位 14秒16

今シーズンの村岡選手は5月の第10回木南道孝記念陸上のみの出場で、今大会が2度目のレースでした。木南記念陸上でハムストリングの肉離れを起こしてからしばらく休養し、ようやく8月から軽い練習を再開し、4か月ぶりのレースとなりました。

久しぶりの試合でハードルを越える村岡選手(一番手前のレーン)

「ハードルが怖いです」と試合前に話していた村岡選手。無理のできない状態ながら、レース感覚も戻りつつあるといい、予選では予想以上の走りを見せて3位となりました。同じ組に”おしどりハードラー”で知られる髙橋佑輔選手の妻である、髙橋友紀子選手(立命館慶祥中学校・高等学校教員)も出場しており、髙橋選手は14秒23の4位という成績で、良きライバルぶりをみせてくれました。

第3位でゴールする村岡選手(手前)と髙橋由紀子選手(写真奥)
ファンにサインをする村岡選手

レース後村岡選手は、「ハードルとの距離感がつかめずに怖くて腰が引けていたのですが、今日は怖くないと自分に暗示をかけて、突っ込みました。13秒80くらいはいったかなと思ったのですが、意外と出ていなかったですね。でも今季最高タイムだったので良かったです!」とどこまでも明るい村岡選手でした。

午後5時過ぎ、競技場を後にしようとした時、大阪から来たファンだという男の人が村岡選手を追いかけてきて、サインを求める場面もありました。村岡選手は嬉しそうでした。

女子走高跳 京谷萌子(北海道知内高等学校教員)

13位 / 1m60

夏休みの終盤から休み明けにかけて、とにかく学校業務が忙しくてほとんど練習はできなかったといいます。「出たとこ勝負です」。スパッと割り切って走高跳の会場へ。10時半の公式練習から始まった跳躍は、真夏を思わせる強烈な太陽の下で展開されました。

1m60をクリアする京谷選手

1m55を一発でクリアした後、1m60も1回目の跳躍で見事にクリア。この勢いで1m65もと思っていたら、3本失敗に終わりました。とくに2本目はほとんどクリアできていたのにわずかに手がバーに触れての惜しい失敗でした。

「調子は悪くなかったのですが、思うように跳躍できませんでした。オフシーズンにしっかりと身体をつくって来年は頑張ります!」と京谷選手は明るく約束してくれました。

スタート前の京谷選手
1m65に挑む京谷選手

北海道ハイテクACの正垣雅規代表(学校法人滋慶学園理事)は、「とにかく全員が怪我の状態でした。今日の結果は織り込み済みです。シーズンオフにしっかりと戦える身体をつくり上げて来年の3月の織田記念からリスタートしようとメンバーには伝えています」と話していました。

北海道ハイテクアスリートクラブ
https://ac.hht.ac.jp/