2025年4月、北海道ハイテクノロジー専門学校 AIスマートアグリ学科は学科名を「スマート農業ビジネス学科」に改称しました。これまで、ICTを活用したスマート農業を学びながら、栽培から加工、販売戦略までを学ぶ6次産業化の教育を実践してきましたが、さらに地域と連携したプロジェクトや、ICTを活かした生産管理システムの導入も進み、より実践的なカリキュラムが強化されました。今回は、2024年度の「食品加工」の授業で学生たちが企画・開発したオリジナル食品の学内販売の取り組みをご紹介します。

同学科のカリキュラムは、教室内での座学の授業だけでなく、校内の温室や実習圃場で育てた野菜を教材に、収穫、洗浄、カットといった下処理工程を体験し、その後、加工室での衛生管理や機材の操作方法を身につけ、最終的に完成品を試食・評価するサイクルを踏んでいます。今回の学内販売は、カリキュラムの集大成として、学生自身がレシピ立案から食材調達、調理、販売、接客、片付けまでを一貫して手がけ、これまでの学びを存分に発揮しました。

学内販売で学生たちが考案・提供したのは、以下の2商品です。
■スマート野菜たっぷり・ヘルシービビンバ
校内の圃場で育てたニンジン、ホウレンソウ、ピーマンなど5種類以上の彩り野菜を使用。ご飯との配分やコチュジャンダレの配合比率は、延べ10回以上の試作を重ねて決定しました。仕上げに混ぜるナムルは、茹で時間や味付けの塩分濃度を測定し、食感と風味のバランスをこだわりぬいて調整。試食した教職員からは「毎日でも食べたい」という声が上がりました。
■地元食材を活用・特製カレーパン
北海道産のじゃがいも、玉ねぎ、豚ひき肉をベースに、クミン、コリアンダー、ターメリックを配合した自家製スパイスを使用。煮込み時間は最短1時間、最長2時間と複数パターンを検証し、野菜の甘みとスパイスの風味が調和するポイントを探りました。揚げパンは温度管理を徹底し、外はサクサク、中は熱々の食感が楽しめる仕立てに。販売開始からわずか30分で完売する人気ぶりでした。
この販売イベントは、学生たちが自ら育てた野菜を使い、商品企画から調理・販売・接客までを実体験できる貴重な機会となりました。調理技術や衛生管理はもちろん、どうすれば手に取ってもらえるか、どのような声かけが心に響くかなど、実社会で求められる複数の視点を学ぶきっかけにもなりました。

販売後には、購入していただいた学内の方々からアンケートを回収。味や接客に関する感想やご意見をお寄せいただき、今後の改善や次回の企画への参考につなげていきます。


ICTを活用した「スマートな農業」を学ぶ中で、学生たちは「育てる」「作る」「届ける」までを一貫して経験し、「食」の可能性を広く捉えて実践に取り組んでいます。北海道の豊かな自然と最先端テクノロジーを背景に、これからも学生たちが挑戦し続ける学びにぜひご注目ください。
