2024年3月12日(火)、両国国技館(東京都墨田区)において、学校法人滋慶学園が東京地区に設置する7校が、学校法人東京滋慶学園の東京・埼玉地区7校と合同で卒業式を行いました。当日はあいにくの雨でしたが、コロナ禍以降4年振りに保護者の皆様にも会場にお越しいただき、卒業生の門出を祝いました。
卒業証書を授与
東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校のゴスペルアンサンブルによる国歌斉唱で始まった式典。最初に学校法人滋慶学園 浮舟邦彦理事長、学校法人東京滋慶学園 中村道雄理事長をはじめ、各校学校長、名誉学校長が紹介されました。次に、卒業証書の授与が行われ、卒業生を代表して卒業証書を授与されたのは、東京医薬看護専門学校 化粧品総合学科の佐久間さん。出席率100%に加え、学校行事にも積極的に参加しオープンキャンパスでは体験実習講師も務め、卒業後は化粧品会社で開発の仕事に携わることが決定しています。東京医薬看護専門学校 須田英明学校長から佐久間さんへ卒業証書が授与されたのに続けて、会場内では各校の教職員より卒業生一人ひとりに卒業証書が手渡されました。
式典には、多くの来賓が列席しました。海外からは、教育顧問でスタンフォード大学フーヴァー研究所教授の西鋭夫先生、そして海外教育顧問であり、ハリウッドで長きに渡り活躍されている日本人メイクアップアーティストのカオリ・ナラ・ターナー先生が駆けつけ、卒業生の新たな門出を祝いしました。
皆勤賞、JESC奨励賞を表彰
在学中、無遅刻、無欠席で全ての授業を皆勤した卒業生が表彰され、代表者2名に壇上で表彰状が贈られました。東京ウェディング・ホテル専門学校 土田雅彦学校長から表彰されたのは、同校 ウェディングプランナー科の渡邉さん。歴史ある施設に就職が内定、日本が誇る和の文化とともにお客様から愛され、一緒に働く仲間から頼られるウェディングプランナーを目標にしています。もう1名は、この日卒業を迎えた留学生の一人、東京福祉専門学校 介護福祉科のジョ・ソンファンさん。卒業後も日本で介護の仕事に就き、身体面のみならず精神面も支えることができる介護福祉士を目指しています。東京福祉専門学校 小林和弘学校長から表彰状を授与されました。
続いて、滋慶教育科学研究所奨励賞の表彰が行われました。滋慶教育科学研究所(JESC)は、学園の教育システムの構築と教職員や講師の質的向上を目的とし、学生に対する教育力を高めるために設立された研究機関です。職業人教育の集大成として行われる卒業研究、卒業制作、コンテストなどから、優秀な研究等に賞が贈られます。今年度は9校が受賞し、代表して東京ベルエポック美容専門学校 美容師科の内田さんが表彰状を授与されました。”Indivisual”という研究テーマで作品制作に取り組み、人魚が人間になる夢を持つことを「新しく生まれ変わる」ことであると考え、夢の中の人魚の切なる願いと儚さを込めて制作、ヘアメイクフォトアート部門で優勝を収めました。
■各賞受賞者一覧はこちらからご覧いただけます。
「確固たる人生観を持て!そして超一流のプロフェッショナルになろう」―土田雅彦学校長式辞
学校長を代表して、東京ウェディング・ホテル専門学校 土田雅彦学校長が式辞を述べ、その中で3点を卒業生に伝えました。
1点目は、今後日本が発展するためには、お客様の視点に立った付加価値の高い商品とサービスの提供、海外生産体制から国内での効果的な生産体制への変革、テクノロジーを活用して革新的なビジネスモデルを生み出し、競争優位性を確立すること、という3つの課題があり、その課題解決のために加速しているDXについて「DXを正しく理解し、皆さんの力で未来社会を切り拓いてください」と伝えました。
続いて、そのDXが進む中で、人間にしかできないこと、表現力、感応力に磨きをかけること。1月1日の能登半島地震発生時のアナウンサーの緊急避難の訴えを例にあげ、「表現力と感応力を深めるものは、信頼と日頃の訓練です」と2点目の言葉を贈りました。
3点目は、1月2日に羽田空港で起こった飛行機の衝突事故の際、客室乗務員が機長と連絡が取れない中、お客様を救う道を模索して全員を脱出させ、命の救った実例から「皆さんは、実習を通して現場の厳しさを学びましたが、現実はさらに厳しく過酷です。社会は真っ青な大船原です。しかし、穏やかな海も、時に荒れ狂う海に変わります。荒れ狂う海にどう立ち向かうか、最後は自分で考え、決断し、行動するしかありません。この根幹にあるものは、人生観です」と話し、これから船出する卒業生に、大きな期待と愛を込めてこの言葉を贈りました。「確固たる人生観を持て!そして超一流のプロフェッショナルになろう」。
「学校は皆さんの故郷。困ったときは学校に相談を、嬉しいときにも学校に来てください」―浮舟理事長祝辞
学校法人滋慶学園 浮舟邦彦理事長は祝辞の冒頭、プロとして仕事をしていくためのスキル、社会人・業界人としての身構え、気構え、心構えなど、在学中に幾多の困難を乗り越えて、プロのスペシャリストとしての基礎を身につけた卒業生を称えました。そして、プロとして成長していくためには原則があり、「プロは仕事を通して成長していきます」と、学び続けることの大切さを話しました。そのために、「困った時は、どうか学校に相談してください。嬉しい時にも学校に来てください」と、学校は卒業生にとっての故郷であり、キャリアセンター、国家試験対策センターはいつまでも卒業生のセンターでありつづけることを卒業生に伝えました。最後に「私達は誇りを持って皆さんを業界に送り出します。そして、皆さんの成長を見守ります」と温かい言葉を贈りました。
代表6人が「明るい未来創造への決意」を表明
活躍する卒業生からのビデオメッセージから始まった第2部のテーマは「明るい未来創造への決意」。全14校から卒業生6名が登壇し、決意の言葉を述べました。
「この日の料理が食べたいと思ってもらえる調理師に」―東京ベルエポック製菓調理専門学校 久保田さん
入学前に見学した帝国ホテル。お客様を第一に考えたホテルの空間に魅せられて、将来はここで働き自分の料理で人を笑顔にしたいと調理師を目指した久保田さんは、夢を叶えて4月から帝国ホテルで働きます。「将来は『この料理が食べたい、ではなく、この人の料理が食べたい』と思ってもらえる調理師になれるように努力を続けたいです」と、新たな夢を語りました。
「公私ともに充実した未来を目指して頑張ります」―日本医歯薬専門学校 望月さん
18歳の時に劇団に就職してダンスを仕事にしていた望月さんは、新型コロナウィルスの影響を受けて以前と同じような仕事ができなくなった不安からキャリアチェンジを考え、国家資格の視能訓練士を取得するために入学。年齢に関係なく親しくしてくれるクラスメイトに助けられ、学んだことはすぐに復習して習得するという学習習慣を身につけました。「視能訓練士として幅広い症例に対応できる知識と技術を身につけ、大好きなダンスも両立できる、公私共に充実した未来を目指して頑張ります」と宣言しました。
「将来は日本の歯科技術をベトナムに広めたい」―新東京歯科技工士学校 チャン・コン・ラムさん
歯科先進国の日本で歯科技工士免許を取得し、人の健康に貢献したいと、日本語学校を経て入学。最初はアルバイトもしながら学校に通うハードスケジュール、授業では専門用語に苦労したそうです。そんなチャンさんを後押ししてくれたのは、ベトナムにいる両親の応援。「卒業後は日本の歯科技工所で働きます。将来は日本の歯科技術をベトナムに広め、患者様たちの健康と笑顔に貢献することを目標に頑張っていきます」と目標を宣言しました。
「韓国から日本に来るお客様に最高のデザートを提供したい」―赤堀製菓専門学校 ゴン・ダヨンさん
韓国からの留学生のゴンさんは、基本的な道具や材料の名前、授業内容の理解も苦労したそうです。しかし、パティシエになるための学びに国籍や年齢は関係なく、日本で学ぶためには語学をはじめ、色々な努力をしなければならないと実感したそうです。繰り返し学ぶことの大切さを実感したゴンさんは、4月から日本でパティシエとしてのキャリアをスタートします。「日本で学んだ高い技術力を活かし、たくさんのお客様、そして韓国から日本に来るお客様に最高のデザートを提供できるように頑張っていきます」と抱負を語りました。
「笑顔を一緒に作っていける歯科衛生士になりたい」―新東京歯科技工士学校 西村さん
21歳で歯科助手として働き始めた西村さんは、働く中で歯科衛生士の仕事に大きな魅力を感じたそうです。その後、結婚、出産、子育てというライフステージを過ごしましたが、歯科衛生士になりたいという気持ちは変わらず、入学を決意しました。家庭と学校の両立を支えたのはご主人や学校の友人の協力。この経験から人が支え合うことの大切さを実感し、また歯科衛生士は患者さんの数だけ出会いがある素敵な職業だと学んだ西村さん。「たくさんの患者さんのお口の健康だけでなく、笑顔を一緒に作っていける歯科衛生士になりたいと思います」と力強く宣言しました。
「必ず、芸能人の専属ヘアメイクになります」―ベルエポック美容専門学校 久常さん
幼い頃からヘアメイクとしてテレビ業界に関わりたいという志を持っていた久常さん。学校と現場実習、アルバイトとプライベートを全てこなそうと意識した学校生活は大変だったと振り返りましたが、ヘアメイクになりたいという強い思いと応援してくれる家族、友人の存在があり乗り越えられたと言います。卒業後は、ヘアメイクの専属アシスタントとして働くことが決定し、夢に一歩近づきました。「どんなことにもめげず挑戦し、必ず芸能人の専属ヘアメイクになります」と未来への決意を述べました。
卒業生にサプライブメッセージと歌でエールを送りました
卒業生にサプライズのメッセージが届きました。座席に用意されていたQRコードをスマートフォンで読み取るように司会から案内があると、卒業生は一斉にスマートフォンを取り出してメッセージを読み始めました。そこにあったのは、卒業式に向けた授業の中で入学時の目標や学生生活を振り返り、目指した卒業後の自分の姿や新たな目標を書いた決意の言葉と、応援してくれる人からのメッセージ。温かいメッセージを読み、涙を流す卒業生もいました。
最後は、東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校ゴスペルアンサンブルによる歌「結-ゆい-」で、卒業生にエールを送りました。
伸びやかなボーカルと迫力あるコーラスが広い国技館に響き渡る中、スクリーンには、クラスメイトや友人たちと過ごした授業やイベントの写真が映し出されていきます。卒業生の心の中には、学生生活の思い出が走馬灯のように蘇っていたことでしょう。
🎵いちばん手に入れたいものって簡単じゃない
でもあきらめない
ぼくたちはなにより強い絆で結ばれている
歌が終わると同時に大きな拍手が起こり、感動の余韻の中で卒業式が終了しました。卒業生は列席者の拍手に送られて、会場を後にしました。