東京福祉専門学校 作業療法士科3年に在籍する松本武尊さんが、2023年7月8日~7月17日にかけて、フランス・パリのシャルレティスタジアムにて開催された『パリ2023世界パラ陸上競技選手権大会』に出場し、団体競技の400mユニバーサルリレーで金メダルを獲得しました。ユニバーサルリレーは、「視覚障害」「切断・機能障害(立位)」「脳性まひ(立位)」「車いす」の障がいカテゴリー順にトラック1周(400m)を手や背中にタッチして次走者につなぐ男女混合の競技です。
個人種目として、男子400m(脳性マヒなどのクラス)にも出場し、55秒85の記録で4位に入賞。自身が持つアジア記録(55秒90)を更新しました。両種目での、来年のパリ・パラリンピック出場枠を獲得に貢献しました!
松本さんは現在22歳。中学生の時から陸上部に所属し活躍していましたが、高校2年生の時に、自宅で激しい頭痛に襲われ、緊急手術。小脳出血が原因でした。回復後も後遺症が残り、一時は車椅子生活を覚悟するほどでした。しかし、懸命にリハビリに取り組み、大好きな陸上での活躍を目指し、努力を続けました。
高校を卒業してから本格的にパラ陸上のアスリートを目指してレースに挑戦。男子100m、400m(脳性マヒなどのクラス)で日本新記録を更新して注目されました。そして2021年4月、本校の作業療法士科に入学。同年9月には東京パラリンピックに出場し、個人種目で入賞するなど、健闘しました。
松本さんが作業療法士を目指したきっかけは、医師に「将来的には歩けるようになっても、よちよち歩きだろう」と告げられながら、リハビリの先生の支えで、陸上の舞台に立てるまで回復できたことにあります。かつて入院先の病院で、東京福祉専門学校の実習生とリハビリを通じて交流したことでこの仕事に憧れを抱き、本校への入学を決めたそうです。
「作業療法士は自分の経験を活かせる天職。人生のどん底を味わった私だから、何かできることがあると思う」と語る松本さんは今日も競技に、学習に励んでいます。