4月11日(木)にタワーホール船堀大ホール(江戸川区船堀)にて東京情報デザイン専門職大学の入学式が行われ、第2期生が新たな一歩を踏み出しました。
東京情報デザイン専門職大学は、2023年4月に江戸川区で初めての4年制大学として開学しました。江戸川区をはじめ、産業界と連携したカリキュラムや実習を通して、テクノロジーを使いながら新しい価値創出ができる「情報デザインエンジニア」を育成しています。
式典では、本学の中鉢良治学長の式辞に続き、江戸川区の斉藤猛区長が祝辞を述べ、デジタル化の重要性を説いて、新入生の活躍に期待を寄せる言葉を贈りました。また、この日列席された多数の来賓のなかから、本学園の産学連携教育にご賛同、ご協力いただいているインテル株式会社、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社より新入生に祝辞が贈られました。そして、第一部の最後には、本学園の浮舟邦彦理事長が祝辞を述べ、本学の概要と特徴を説明、デジタル人材の需要が高まるなか、新入生の本学での学びと成長に期待を寄せる言葉を送りました。
【第一部 式典】
姉妹校東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校の先導による国歌斉唱に続き、中鉢良治学長が式辞を述べました。
「情報化技術者の育成は、我が国喫緊の課題」中鉢良治学長
中鉢学長は、昨年日本のGDPがアメリカ、中国に次ぐ世界第3位からドイツに抜かれて第4位に下がったことを挙げ、日本復活の必需として、生産性、イノベーション、そして人材育成の3つが特に重要であるという考えを示し、これら3点には情報科学、いわゆる自治体の技術、DXと深く関わっているという共通した特徴があり、我が国復活の鍵は、この情報科学の活用いかんにあると強調しました。「情報化技術者の育成は、我が国喫緊の課題です」と、専門職大学という新制度のもと開学した本学の使命を述べました。そして、このように大きな期待が向けられている学生たちに「第2期生である皆さんは、どんな思いで今日を迎えられたのでしょうか?」と語りかけました。一人ひとりの思いは違っていても、誰しも大学生活やキャリアへの不安があることについて「安心してください」と、高い専門性と経験を持つ教職員や、企業での実習など実践的な教育環境を整えていることを話しました。そして「4年後、皆さんが自信に満ちた姿でこのキャンパスを巣立ち、やがては我が国の発展を担っていただきたい。これは私たち全員の願いです」と、新入生の将来に期待を込めました。最後に「私たちは一人ひとりに丁寧に寄り添ってまいります」と、目標に向かう学生一人ひとりを教職員がサポートしていくことを伝えました。
次に本学園の産学連携教育にご賛同いただき、東京コミュニケーションアート専門学校、東京デザインテクノロジーセンター専門学校などの企業プロジェクトに課題提供をいただいているインテル株式会社、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社より新入生に祝辞をいただきました。
「皆さんは既に社会に待ち望まれている人材、常に好奇心を忘れず高めてほしい」
インテル株式会社 パブリックセクター事業本部 公共文教事業推進部 事業統括部長 島田晋作様
島田様は、新入生への祝辞として、「皆さんは既に社会に待ち望まれている人材である」「常に好奇心を忘れずに高めてほしい」という2点を伝えました。
世の中に求められている人材とは何か。その一つは、「課題を特定し、周りとコミュニケーションを取りながら、テクノロジーやデータを活用して課題解決を進められる人材」です。このような人材は、世界中の企業、政府、自治体で求められています。そして、その数は「昨年の世界経済フォーラムの調査によれば、グローバル規模で2027年までに新たに6900万人が必要とされています」と説明しました。本学の育成目標やカリキュラム等から、「今求められている課題解決型の人材を育成する素晴らしい環境がここには揃っています。しっかり学習すれば、皆さんは間違いなく将来求められる人材になることでしょう」と話しました。
しかし、今日からの学びの中でつまずき、悩んだときには「好奇心を大事にして、高めていただきたい」と助言しました。「なぜなら、好奇心は学びたい意欲に変わり、自分を成長させてくれるからです」と伝えました。最後に「皆さんが好奇心のままに学び尽くし、充実した学生生活を送られることを心から願っています。そして将来活躍される姿にお目にかかれることを大変楽しみにしています」と期待を込めた言葉を贈りました。
「この4年間は、長い人生の中で情熱を傾けられる課題を見つける、最初の一歩のための時間」
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
パブリックセクター 教育事業本部 DXアドボケート 澤扶美様
澤様は、新入生が生まれた2005年、2006年頃の株価の時価総額ランキングトップ10を例にあげ、当時IT関連企業は1社しかランクインしていなかったが、最近では4、5社がランクインしていることを示して「皆さんが卒業される4年後は、どんな世界になっているでしょうか。この4、5年の変化を思い出してみてください」と新入生に問いかけました。会社でのオンライン会議は日常となり、小学生から高齢者まで、どんな世代でも当たり前のように世界中の人と距離を越えてオンラインでコミュニケーションを取れる今、「これは5年前、誰も想像してなかった世界です」と変化を強調しました。それ以前、ご自身がオンライン会議の仕組みに初めて遭遇したのが大学時代の1997年。世界は変わると思いテレビ会議システムを搭載しているコンピュータを作っていた企業に新卒で入社。当時は先進的な企業でしたが、今はもうその会社は存在していないそうです。「ITに関わっていると、ものすごく流れ、動きが速いなかを生きていくことになります。非常に面白い世界とも言えます」とご自身の経験を伝え、新入生にアドバイスを送りました。「流れの速いIT業界だからこそ、小さな変化ばかりに目を取られていると、自分が何をやるべきなのか、そもそも何をやりたかったのか、わからなくなってしまうことがあります」。そして、一番伝えたいこととして「小さな変化にとらわれず、自分が大切にできる価値観や、自分が取り組みたい課題を見つけてください。この4年間は、自分の長い人生の中で情熱を傾けられる課題を見つける、最初の一歩のため時間だと思います」と訴え「心から応援しています」と激励しました。
「情報デザインエンジニアとして時代を切り拓く新しい人材へ成長されるよう、江戸川区として地域を挙げて応援します」江戸川区斉藤猛区長
江戸川区の斉藤猛区長は、大学設立の経緯と本学が建つ場所について「大正15年には小松川第二尋常小学校でした。子どもたちの学びの場として長い歴史を歩んできた場所です」と説明し、「歴史あるこの地に新たな学びの場として待望の大学が開学し、本日2期生の入学式を迎えられたことは、江戸川区としても喜ばしい限りです」と祝いの言葉を述べました。
本学が地域の一員として地域の活性化へ協力してきたことやDXを推進する江戸川区の「メタバース区役所」実現に向けたプロジェクトへの連携など、「これからも様々な分野で大学と連携をとりながら、デジタル技術を活用して、人々の暮らしをよりよいものとしていきたいと思っています」と述べました。そして「入学された皆さんが、大学が目指す情報デザインエンジニアとして時代を切り拓く新しい人材となり、日本のデジタル産業を担う人材へと成長されるよう、江戸川区としても、地域を挙げて応援します」と、新入生を激励しました。
「知識社会はスペシャリティを持った人材を求めています」浮舟理事長
浮舟理事長は、本学の母体であり、江戸川区を中心に33校の学校を持ち、約1万8000名が学ぶ学校法人滋慶学園について、「斉藤区長からもお話がありましたように、江戸川区で最初の4年制の大学として設立されたこともあり、地域から非常に期待をされている大学です」と紹介し、専門職大学について「新たなサービスを生み出す創造性を育む職業教育を行う大学です」と伝え、本学には実務家教員が20名おり、3年次、4年次には、長期のインターンシップなど現在65社の企業のご協力を得て実習の場が用意されていることなど、「実践的に学ぶ環境と豊かな創造性、デザイン力を養う環境が整っていると言えると思います」と本学の学習環境を話しました。そして、少子高齢化、DX化と大きな変化のなか、AIやメタバースなどテクノロジーが飛躍的に発展している今日、「本学で養成する人材がまさに社会から求められている人材であると思います。また、知識社会はスペシャリティを持った人材を求めています」と、大きな期待が新入生の将来にかかっていることを伝えました。
さらに、その期待に応えられる人材になるために、「皆さんには多くのことに関心を持ち積極的に学ぶ、学びの習慣を身につけていただきたい。また社会では仕事をしていく身構え、気構え、心構えを学ぶ必要があります」と、コミュニケーション力、真の国際性と、必ずや将来の財産となる、仲間や教職員、業界の方々との人間関係を大切にしてほしいと本学での学びの目標を示しました。そして、最後に「これからの皆さんの学びが皆さん一人ひとりにとって、またこの業界にとっても大きな力になりますことを祈念します」と新入生を激励しました。
【第二部 第1回目の授業】
先輩たちが取り組んだ企業プロジェクト作品をプレゼンテーション
“第1回目の授業“と位置付けている入学式の第二部では、本学第1期生の先輩2組と、本学園の専門学校2校の在校生と卒業生3組が、産学連携授業で取り組んだ作品についてプレゼンテーションを行いました。
本学は昨年、開学初年度より地域や企業から課題をいただき、この日の入学式では、学生が取り組んできたプロジェクトについてプレゼンテーションを行いました。
【江戸川区地域連携プロジェクト】
「メタバース区役所の実用化プロジェクト」
「江戸川区カーボンマイナス支援プロジェクト」
江戸川区と本学園は2022年に包括的連携協定を結び、防災や地域連携において協働しています。プレゼンテーターの鵜澤さんと番場さんが「江戸川区地域連携プロジェクト」から、現在進行中の2件についてプレゼンテーションを行いました。
斉藤区長から中鉢学長へ江戸川区のDXを進めるための協力依頼があり、昨年からスタートした「メタバース区役所の実用化プロジェクト」。江戸川区のDX推進課が行っている「メタバース区役所の実用化」に本学が協力、昨年末に実用試験が終わり、メタバース内で4月26日に発表会が行われました。
2件目は、東京商工会議所江戸川支部や江戸川区環境部との産学官で進めている「江戸川区カーボンマイナス支援プロジェクト」。『江戸川区カーボンマイナス都市宣言』を表明し、2050年温室効果ガス排出実質マイナス達成を目指して、中小企業に更なる協力を得るための施策を考えるという課題に取り組んでいます。学生たちは、LED照明の導入を原点から見直し、フィールドワークを行って進捗状況を把握、分析を行い、LED化が進んでいない場合は、その要因を調査し根本原因を特定して解決策を検討。東京商業会議所江戸川支部および江戸川区にこの結果を報告し、対策を提案する予定となっています。
株式会社JTBコミュニケーションデザイン「はるみらい、防災推進プロジェクト」
株式会社JTBコミュニケーションデザイン「はるみらい、防災推進プロジェクト」では、2023年12月17日にオープンした中央区晴海地域交流センター『はるみらい』のオープニングセレモニーの日に、防災についての知識も織り交ぜながら、小学生向けのプログラミング教室を実施してほしいという課題に取り組みました。『はるみらい』が埋立地にあることから、液状化現象を伝えるプログラミング教室とし、簡単なゲームを制作し、小学生を飽きさせないためにプログラムのコード説明をクイズ形式にするなどの工夫もしたそうです。このプロジェクトは大変好評を得て、今年度も第2弾が予定されています。
続いて、姉妹校の専門学校2校から3件のプレゼンテーションを行いました。
東京コミュニケーションアート専門学校 「三菱自動車工業プロジェクト」
『10年後のミツビシブランドを想定した車両デザイン提案』
東京コミュニケーションアート専門学校の「三菱自動車工業プロジェクト」、『10年後のミツビシブランドを想定した車両デザイン提案』において同校自動車デザイン科の西村さんが制作した作品『FULL OUTDOOR NOMAD 2033』についてプレゼンテーションを行いました。「フルアウトドアライフ」をコンセプトに、ユーザーを33歳、妻と2人で冒険していると想定してデザインしたエクステリアデザイン、インテリアデザイン、使用シーンを紹介しました。
株式会社セガ「モンスター生成AIプロジェクト」
「モンスター生成AI」は、株式会社セガが東大松尾研発スタートアップ企業である株式会社EQUES(エクエス)と共同開発した、ゲーム制作において著作権を侵害せずに簡単に3Dモデルを生成できるAI。株式会社セガからいただいた、この生成AIに学習させる3Dモデル制作の課題「モンスター生成AIプロジェクト」に取り組み、300体以上の3DCGのモンスターを制作しました。このプロジェクトは共同開発したEQUESよりプレスリリースされました。
東京デザインテクノロジーセンター専門学校 日本マイクロソフト株式会社企業プロジェクト 「Azure Kinectを使用した、最先端協力型パズルゲーム制作」
東京デザインテクノロジーセンター専門学校からは、スーパーゲームクリエイター専攻4年の辻野さんが、日本マイクロソフト株式会社の企業プロジェクト「Azure Kinectを使用した、最先端協力型パズルゲーム制作」を、実演を交えて、プレゼンテーションを行いました。Azure Kinectとプロジェクターを使用して制作されたのは、魔法でネズミを誘導し、鍵を取らせ、ゴールに誘導するゲームで、4人プレイの協力型にし、まるで本物の魔法が使えるような体験ができる演出がされています。マイクロソフト株式会社からは高い技術力を評価されました。
教職員バンドと東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校ゴスペルアンサンブルの歌で新入生を歓迎
式典のフィナーレは、姉妹校・東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校の渡辺敦子学校長、名誉教育顧問のミッキー吉野先生、トミー・スナイダー先生らによる豪華なバンドと、福岡スクールオブミュージック&ダンス専門学校卒業生でシンガーの斉藤早春さん、東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校ゴスペルアンサンブルによる「You Raise Me Up」の迫力ある演奏で入学を歓迎しました。清々しい表情で入学式に臨んだ新入生たちは、夢を目標に変え、新たな一歩を踏み出しました。